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●共同通信社「47行政ジャーナル」をご覧の皆様へ(2014.12.31)
共同通信社「47行政ジャーナル」に掲載された拙稿
「真の“田園回帰”時代を迎えるために、なにが必要か〜「集約」論への対抗軸としての“田園回帰”の実態と可能性〜」
に対して予想を遥かに超える反響をいただき、ありがとうございます。
拙稿に紹介した図表のうち、スペースや視認性の関係で表示を省略/簡素化せざるを得なかったものが2点あります。1つは「表2:20代→30代コーホート変化率の推移」。もう1つは「図3:30代コーホート変化率」。前者はブロック単位の集計、後者は西日本の一部の表示にとどめざるをえませんでしたが、完全データをWeb上で公開させていただきます。以下の2ファイルをごらんください
<20-30代コーホート変化率の推移>(163KB)
「表2:20代→30代コーホート変化率の推移」の都道府県別データです。
各都道府県の過疎地域に限定した分析結果(1990-2010年の20年間)も添えてあります。2000年代に入って、過疎地域からの若年層の流出が深刻化した様子がおわかりいただけるかと思います。
「田園回帰」先発地域とされる島根県では、2000年代に入っても若年層は流入超となっていますが、増加率は90年代に比べて大幅に縮小しています。
その他、以下の【使用上の注意】をよくお読みください。
<25-39歳人口コーホート変化率(2008-2013年)>(4.8MB)
「図3:30代(2013年時点)コーホート変化率」の全国版データです。
画像サイズが大きいので、スクロールして御覧ください。
市区町村名を付していますが、ソフトの仕様からか、名前が表示できていない市区町村があります。ご容赦ください。
その他、以下の【使用上の注意】をよくお読みください。
使用上の注意
<20-30代コーホート変化率の推移>
各年の20代人口と10年後の30代人口を比較して、その増減率を一覧しています。たとえば1970年国勢調査時点(10月1日)の20代は、1980年国勢調査時には30代になっています。この世代の死亡率は1%未満ですので、10年間に人の出入りがなければ、増減はほぼゼロになるはずです。すなわち、両者を比較して、人口が増えていればその分だけ人が流入した、人口が減っていればその分だけ人が流出した、と見なすことができます。
各都道府県の過疎地域に限定した分析結果(1990-2010年の20年間)も添えてありますが、この数字の取り扱いについては注意が必要です。
過疎地域区分は2000年時点のものです。
大阪府には、2000年時点では過疎地域はありませんでしたが、現在は千早赤阪村が過疎地域に指定されています。神奈川県には、2000年時点も現在も過疎指定地域はありません。
埼玉県・東京都・滋賀県など過疎地域の人口の絶対数が少ない都道府県では、極端な数値が出ることがあります。
<25-39歳人口コーホート変化率(2008-2013年)>
市区町村ごとに2008年3月末時点の25〜34歳人口と2013年3月末時点の30〜39歳人口を比較して、その増減率に応じて塗り分けた地図です。2008年3月末時点の25〜34歳は、2013年3月末時点には30〜39歳になっています。この世代の死亡率は1%未満ですので、5年間に人の出入りがなければ増減はほぼゼロになるはずです。すなわち、両者を比較して、人口が増えていればその分だけ人が流入した、人口が減っていればその分だけ人が流出した、と見なすことができます。
データの制約上、2010年時点の市区町村ごとの集計結果です。
同じ市区町村内でも、地区ごとに違った動向を示している可能性があります。
2010年以降に合併した自治体については再集計しましたが、漏れがあるかもしれません。また、2010年以降に単独で市制施行した自治体は、昔の名前で出ている場合があります。
単純に人の出入りを把握するために作成したデータです。出入りの要因まで把握して分析したデータではありません。たとえば、U・Iターンの別は不明です。
10代の他出率が高い地域では、その反動でUターンを中心に20代後半から30代にかけての流入が多くなりがちです。特に離島や山間部など、高校から他出を余儀なくされる地域について観察する際は、こうした要素を考慮する必要があります。
大学卒業による転出の影響を避けるために分析対象を25歳以上としましたが、浪人・留年・修士課程進学者など、大学卒業/大学院修了が25歳以上になるケースがあり、影響を排除しきれるわけではありません(例:沖縄県西原町)。
三陸沿岸や福島浜通りについては、津波被害・原発事故の影響を考慮する必要があります。
最後に…
これらのデータはあくまでも人の動きの一断面を切り取っただけのものですから、これだけでその市区町村のあらゆることがわかるわけではありません。でも、それぞれの市区町村の状況をつかむためのきっかけにはなると思います。
データに踊らされるのではなく、データを使いこなすことが重要です。そのためには、「この(我が)市区町村はこんな数字だから、もうダメだor大丈夫だ」などとデータを鵜呑みにするのではなく、「この(我が)市区町村では、なぜこんな数字になっているのだろう?」とデータに問い掛ける姿勢が必要です。
以上の点にご注意のうえ、お役立ていただければ幸いです。
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